VEED.io はブラウザベースの動画エディタとして UI も機能も非常によくできています。AI 自動字幕も実用レベル。ただしカジュアル用途では次の 3 つが壁になります。
- 無料版は出力に透かしが入る
- エクスポートにはアカウント登録が必須
- ファイルは VEED のサーバーにアップロードされる — 一般用途では問題なくても、機密 / NDA 動画では選択肢から外れる
この記事では FFmpeg Cookbook のブラウザ版ツール が VEED より向いているケースと、逆に VEED の方が良いケースを正直に整理します。
検証: VEED.io 無料版 + Pro (2026 年 5 月時点) · FFmpeg 7.1 · ffmpeg.wasm 0.12.15 · Chrome 124 / Safari 17
比較表(一覧)
| VEED.io 無料 | VEED.io 有料プラン | FFmpeg Cookbook | |
|---|---|---|---|
| 出力に透かし | あり | なし | 常になし |
| アカウント登録 | エクスポート時必須 | 必須 | 不要 |
| ファイルアップロード | あり | あり | なし(ブラウザ完結) |
| 字幕焼き込み | 自動 + 手動 | 自動 + 手動 | 手動 SRT/VTT |
| AI 自動文字起こし | 制限あり | プランにより拡張 | なし(手動 SRT 必要) |
| 透かし / ロゴ追加 | あり | あり | あり |
| モザイク・ぼかし | あり | あり | あり |
| マルチトラック編集 | あり | あり | なし(単機能ツール) |
| ストック素材 | あり | あり | なし |
| エクスポート解像度 | 制限あり | プランにより拡張 | 元動画の解像度まで |
| 最大ファイルサイズ | 制限あり | プランにより拡張 | 実用上 ~500 MB |
| 料金 | 無料 (透かし付) | 有料(最新価格は公式参照) | 完全無料 |
VEED の方が向いているケース
VEED が本当に強い領域があります。当てはまるなら有料プランも妥当です。
- マルチクリップのタイムライン編集:トラック・トランジション・複数カットを一連の作業として連続的に編集できる。私たちのツールは単機能を 1 つずつ手動で連結します。
- AI 自動文字起こし:話し声を自動で SRT 化。SRT を手書きしたくないコンテンツ制作者には強力。
- ストック素材・テンプレート:商用利用可のクリップやモーショングラフィックが内蔵。サムネイル系コンテンツ作成に便利。
- チーム共有:Pro はワークスペースを共有して編集レビューが可能。
- ブランド資産の使い回し:色・フォント・透かしをプリセット化、複数動画に一括適用。
週単位で SNS 動画を作っているなら、有料プランは元が取れる選択肢です。価格や上限は変わるため、契約前に公式の料金ページを確認してください。
ブラウザ版が向いているケース
3 つのカテゴリで FFmpeg Cookbook の方が明確に優位です。
1. プライバシーが必要な動画
NDA 素材、社内研修動画、個人 / 家族のプライベート映像はサーバーにアップしたくない — VEED のプライバシーポリシーが良いか悪いかの問題ではなく、ファイルが端末から離れない方が安全 という話です。
透かしツール、字幕焼き込み、顔・ナンバープレートのモザイク はいずれも完全ローカル処理です。DevTools の Network タブで 0 アップロードを直接確認できます。
2. 単発の作業 — サブスクリプションが過剰
「1 本だけプレゼン用に字幕を焼き込みたい」だけなら、月額の有料プランは過剰になりがちです。無料版だと透かしが入る場合があります。私たちの 字幕ツール なら SRT をドロップしてスタイル選択 → 焼き込み完了。アカウント不要、透かしなし。
3. 共有 PC / 学校 / 職場の端末
ソフトのインストールができない、個人アカウントでログインしたくない環境。タブを開いて作業 → 閉じれば痕跡なし。
機能ごとの代替方法
VEED の各機能を、私たちの単機能ツールでどう実現するか:
字幕(自動 vs 手動)
VEED の目玉は AI 自動字幕。私たちには AI 文字起こしはありません。代わりに 字幕ツール は SRT / VTT を受け取って、フォントサイズ・色・縁取り・位置・太字を細かく指定して焼き込みます。
実用的な組み合わせ: ローカルで Whisper または Whisper.cpp を使って SRT を生成し、それを私たちの字幕ツールに渡す。完全プライバシー、フル制御、サブスク不要。
# whisper.cpp でローカル文字起こし(一度セットアップすれば再利用可)
./main -m models/ggml-medium.bin -f input.mp3 -osrt
# → input.srt を得られる
# input.srt + 動画を FFmpeg Cookbook の字幕ツールにドロップ
透かし / ロゴ追加
VEED の透かしエディタと私たちの 透かしツール はほぼ同等の機能。画像とテキストの両方に対応、位置・不透明度・余白を細かく設定できます。違いはプライバシーと登録の有無。
顔・機密箇所のモザイク
VEED にもブラーツールがありますが、私たちの モザイク・ぼかし も矩形範囲指定で「モザイク」「ガウシアンぼかし」「黒塗り」を選べます。同じ UX、完全ローカル、登録なし。
TikTok / Shorts / Reels 用にリサイズ
両方とも対応。SNS リサイズ は 9:16 / 1:1 / 16:9 のプリセット + クロップ / レターボックスを選択可能。
アップロード前の圧縮
私たちの 圧縮 と Discord Compressor は容量上限を狙い撃ちで指定できる点で、ビットレートベースの VEED より直接的。
ブラウザ版で諦める部分
正直な棚卸し:
- タイムライン編集なし:複数操作(トリム → 透かし → 圧縮)の連続実行には、ツール 3 つを動かしてダウンロード / アップロードを繰り返す必要があります。VEED は 1 プロジェクトで完結します。
- 自動文字起こしなし:音声 → テキストは VEED の AI か、ローカルの Whisper を別途セットアップする必要があります。
- ストック素材なし:VEED のロイヤリティフリー素材は私たちにはない。
- コラボ / プロジェクトファイルなし:すべて 1 回限りの操作。プロジェクトを保存して後で再編集する仕組みはありません。
- 1 ファイルずつ:VEED の並列レンダリングキューと違い、バッチ処理はできません。
「アップロードなし」が本当に意味すること
ツールがアップロードしていないことを確認する一番の方法は、ブラウザ DevTools の Network タブを見ることです。
- VEED.io:ファイルをインポートすると Network タブに
*.veed.ioへの数 MB 〜数百 MB の POST が出る → ファイルがサーバーに到達。Pro のプライバシーポリシー適用範囲。 - FFmpeg Cookbook:圧縮ツール にファイルをドロップしても、Network に出るのはページアセットと ffmpeg.wasm core のダウンロード(初回のみ約 27MB、以降キャッシュ)だけ。ファイルペイロードを送るリクエストは 0。
これは机上の主張ではなく、ブラウザで直接確認できる事実です。ソースコードもオープンなので隠しアップロードは仕込めません。
よくある質問
なぜ AI 自動文字起こしを実装しないの?
ブラウザ内 Whisper(whisper.cpp WASM)は実装可能ですが、50〜500MB のモデルダウンロードが必要で、ユーザー端末での処理速度も実用ぎりぎり。「ツールを軽く・速く」という方針のため見送りました。デスクトップで Whisper を動かして SRT を作り、それを私たちのツールで焼き込む組み合わせなら、サブスクなしで同じ成果が得られます。
VEED の UI 完成度に追いつく予定は?
タイムライン編集の方向では追いつかないと思います。それは別の製品ジャンル。私たちは「1 つの作業を高速・確実に終わらせる」方向で最適化しています。
本当にアップロードされないか確認したい
ブラウザの DevTools で直接確認できます。ソースコードも公開されているので、隠れたアップロード処理は存在しません。ffmpeg.wasm 自体もオープンソースで、必要なら中身を読めます。
透かしを 意図的に 付けたい場合は?
透かしツール を使ってください。任意の場所に画像 / テキスト透かしを焼き込めます。ポイントは「選択権がある」こと。VEED は無料ユーザーに強制で透かしを付けますが、私たちは付けたい時だけ付けられます。
4K は扱える?
ある程度は可能ですが、ブラウザサンドボックスは GPU を使えないため処理速度が遅くなります。4K の本格編集は VEED のサーバーレンダーの方が速い — その代わりアップロード時間とプライバシーの代償があります。
iPad / Android で使える?
はい、モバイルブラウザ(iOS Safari 16+、Chrome Android)で動きます。VEED にもモバイルアプリがあり、小さい画面ではそちらの方が UI が洗練されているかもしれません。
複数ツールの組み合わせ方は?
順番に実行: トリム → ダウンロード → 圧縮にドロップ → ダウンロード → 透かしにドロップ。各ステップでファイルは端末に残ります。VEED のタイムラインより遅いですが、プライバシーは完全に保てます。
おすすめ判定
- VEED.io を選ぶ: 週単位で SNS 動画を作る / 統合エディタが欲しい / AI 自動字幕が必要 / ストック素材を使いたい
- FFmpeg Cookbook を選ぶ: プライバシー必須 / サブスク回避 / 単発の作業を透かしなしで終わらせたい
最終的な動画は両方で同等のものが作れます。トレードオフは 利便性 vs プライバシー & コスト — どちらも妥当な選択。扱うファイルがどちらにフィットするかで選んでください。
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